島暮らしの春夏秋冬には、いずれもかけがえのない喜びがある。
春。海を背に花咲く桜の季節。
土筆、蓬、タラの芽、筍。野山に山野草を摘みに行くという喜び。
秋。町じゅう、祭りの季節。
みんなでごはんを食べて、だんじりを担いて、お酒を飲んで。
わけ必要なく、つなぎ、つながれる喜び。
冬。大潮の早朝、漁りに出かける。
海の恵みはもちろん、刻一刻と変わる朝の海に感じる命の喜び。
そして、夏。いのち溢れる季節。
海で遊ぶ子どもたち。花火大会。島に帰ってくる人たち。
ホトトギスとウグイスの声で目覚め、昼はアブラセミの大合唱。
日が暮れれば、ヒグラシにスズムシ、アマガエル。
太陽の下、様々な命が交差して、音を響かせ合う季節。
いずれの季節にも、それぞれの楽しみがあるのだけれど、
やはり、島の夏が好きだ。特に、夏の夕暮れが。
まだ日が暮れきれないうちに、お風呂に入り、
縁側で風に当たりながらビールを飲む。
読みたかった本と蚊取り線香。
オットが飲み会や寄り合いに出かけて、
わたしとふく(愛猫)とふたりきりの夕暮れ。
いつもは夕飯づくりに追われている
日没までの1時間を自分のために過ごす。
家族のために食事をつくる時間も
幸せだけれども、
たまのこんな時間はとても贅沢だと思う。
みなさまも、よき夏を。